年金と医療
年金と医療
日本では、少子高齢化がどんどん進んでいます。
これは、どの先進国でも抱えている問題ですが、日本の場合は極端です。
これからは、高齢者、いわゆる年金生活者がどんどん増えていくのに、働き手が増えてこないのです。
2000年には、3.6人の労働者で1人の年金生活者を支えていたものが、2025年には、1.8人で1人を支えていかなければなりません。
これが、2050年には、1.2人で1人の面倒を見ることになってしまうのです。
今の現役世代の人たちは、一生懸命働いて高齢者を養っているわけですが、自分たちが現役を引退したとき、果たして年金を受け取ることができるでしょうか。
昔は、年金は55歳から支給されていました。
それが、今では年金支給開始年齢は65歳からになりました。
これから、もっと、どんどん支給開始年齢が遅くなって、しかも、支給額が少なくなるのは明らかです。
元々、日本の公的年金には無理があります。
なぜかというと、日本の年金制度は「賦課方式」だからです。
「賦課方式」というのは、年金受給者が受け取る年金を現役労働者が支払っている年金保険料で支払う方式です。
まさに、現役世代が高齢世代を養っているという状態です。
だから、毎月徴収されている年金保険料も、自分のために積み立てているのではありません。
自分たちが受け取る年金は、子供たちが大人になってから支払う年金保険料から受け取るわけです。
これは、年金制度ができた頃と同じようなペースで赤ちゃんが生まれ続け、お年寄りもその当時と同じようなペースで亡くなっていく、そして経済もその頃と同じようなペースで成長し続けるということが前提になった制度です。
いわゆる、ピラミッド型の人口分布がずっと続いていくことが想定されて設計されている訳です。
でも現実は違います。
日本では、極端な少子高齢化が進み、人口分布図は逆ピラミッド型を目指しています。
医療が進歩し平均年齢がどんどん伸びて、高齢者がどんどん増えているのに、新しく生まれてくる赤ちゃんの数は思ったように増えていきません。
さらに、保育園不足による待機児童の問題など、安心して子供を作れない、子育てには厳しい状態が続いています。
さらに問題なのが、若者の年金保険料納付免除者の増加です。
ニートなど定職に就かない若者が増加していて、これらの若者は年金保険料の納付を免除されています。
若者のうち、ちゃんと年金保険料を支払っているのは、3割強といわれています。
このように見てくると、いずれ、日本の年金制度は破たんするでしょう。
だから、これからは公的年金には頼れません。
今一生懸命働いたら、リタイヤ後は年金で孫の世話でもしながらのんびり暮らそうなんて、とんでもない事だということが分かると思います。
「年金って本当にもらえるのだろうか、もらえなくなるのではないか。」という恐れが、現実味を帯びてきました。
医療の問題についても同様です。
高齢化に伴い働かない人が増えてくると、年金と同様、健康保険料収入も減ってきます。
すると、当然健康保険料は値上がりします。
健康保険料を会社で天引きされる方は大丈夫ですが、国民健康保険の場合は、保険料の未納者がどんどん増えていきます。
こうなると、年金制度と同様、健康保険制度もいずれは、破たんしてしまいます。
技術の進歩により、医療の世界でも高度先端医療など、今までにないような治療方法が出てきていますが、これらの治療には健康保険は使えません。
また、健康保険の適用範囲がどんどん狭まり国の負担割合が下がり、逆に自己負担額が増えてきます。
お金の無い人は、病院で治療を受けることもできなくなります。
だから、これからは病気にならないように予防することが重要になってきます。
貧乏人は、病気にもなれなくなくなるのです。