「アノマリー」と「同調伝達」
「アノマリー」とは変則という意味で、はっきりした根拠はないけれどよく起こる事例、または、材料やニュースとは関係ない自律的な変動周期を言います。
そして、このアノマリーを利用して売買する方法があります。
たとえば、「年末年始効果」や「五月連休前後効果」というアノマリーがあります。
これは、株価は年末年始や五月連休前後に天井が来ることが多いという値動きのことで、経済情勢や企業業績などのファンダメンタルズにかかわらず現れます。
そのほか、株式市場における代表的なアノマリーには次のようなものがあります。
・月曜の株高
月曜日は相場が上がる。
・節分天井、彼岸底
2月初めに高値を付けて下落し、3月末で底を打つ。
・小型株効果
資本金が少ない銘柄は平均より収益率が高い。
・株は五月に売れ
「sell in May」は、アメリカで言われているアノマリーで、日本では、相場格言に「鯉のぼりの季節が過ぎたら株は売り」というのがあります。
Sell in May and go away But remember to come back ln September.
「5月に株を売って後は近づくな。しかし、9月になったら買うことを忘れるな。」
秋に仕込んで春先に売る半年投資は、比較的結果が良いのです。
・晴れの日は株が上がり、雨の日は下がる。
天気の良い日は気分もよく積極的になるのかも知れません。
このように、世界中の株式市場で、曜日や月・旬などの暦によって、株価の変動にある種のパターンが存在します。
日本でも、月や日など暦日を基準にする方法や、新月・満月などの月齢を基準とする方法、あるいは、日数などの周期による売買などをアノマリーと呼んでいます。
たとえば、月の効果としては、日本でもアメリカでも一月の株価が高く、日本では六月も株高となりやすい。そしてこの傾向は会社規模が小さいほど顕著なようです。
このような株価変動の規則性は、通常の理屈や理論などでは説明しきれないため、アノマリーといわれています。
そして、理屈では説明できないけれども、なぜか通常よりも多くの利益を得ることのできる規則性のある変動パターンに基づいて売買を行うことを「アノマリー」に基づく投資手法といいます。
これらの「アノマリー」といわれるものは、多くの人がある情報に基づいて同じ行動を取るために起こる現象で、「同調伝達」といわれています。
不確実な状態の中で、他の人がとる行動に基づいて自分の行動を決める傾向のことで、不確実な中で不安になったとき、人はどうするのだろうと考えることからこのような行動をとるのです。
「アノマリー」と言われるものは色々ありますが、注意したいのは株式投資というものは、皆と逆の行動を取らないと儲けることはできないということです。
「同調伝達」によって、皆があっちに行くから自分も付いて行くというのは、株式投資をするうえであまり良い方法とはいえません。