株の値下がりで稼ぐ方法「空売り」
株価が暴落したりすると、よくテレビでは、証券会社の「株式表示板」を真剣に見つめている人たちを写し出しています。
そして、「株式表示板」の前にいる人たちは、大概、この暴落で何百万円も損をしたなどと落ち込んだり、ぼやいたりしています。
リーマンショックのときによくテレビで見かけましたよね。
このように、株価暴落のニュースで喜んでいる人はあまりいません。
だから、これを見た一般の人たちは、「株は下がったら負ける」、「株は上がらないと勝てない」と思ってしまいます。
株式投資というと、このように、買った株が値上がりしたら儲けることができるが、逆に値下がりすると、損をすると考えている人が多いようですが、実は、株価の大暴落で大きな利益を手にする人も大勢いるんです。
株価が上がると儲けて、株価が下がると損をするというのは、株を買うだけの人のことです。
この人たちは、株価が安くなったときにその株が今度は値上がりすることを期待して買ったり、あるいは、相場が活気付いていて、これからもさらに値上がりが期待できそうなときに買って、実際に値上がりしたらに売って利益を得ます。
これとは逆に、株価が下がることによって利益を得ている人もいます。
この人たちは、値下がりしそうな銘柄を見つけると、証券会社からその株券を借りて売ってしまいます。
そして、実際に下がるとその値下がり分を儲けることができます。
たとえば、ある銘柄が「1000円」のとき、証券会社からその株券を千株借りて、それをすぐに売って100万円の売却代金を得ます。
そして、この銘柄が「800円」に下がったとき80万円で1000株買って、証券会社に株券を返します。
すると、売却代金と購入代金の差額の20万円が利益になります。
このような、株価の値下がりを見込んで「売り」から入るやり方を「空売り」といい、株価の値下がりで儲ける方法です。
『順張り』と『逆張り』
人は、予期していない出来事に出会うと過剰に反応してしまう傾向があります。
たとえば、相場に思ってもいないような好材料や悪材料が出たりすると、敏感な投資家はその材料に対して過剰に反応してしまいます。
そして、その相場の反応に対し、さらに他の投資家たちが反応するため、株価は適正価格から大きく乖離してしまいます。
売られすぎ、あるいは買われすぎの状態になるわけです。
しかし、株価がいつまでも上がり続けたり、下がり続けたりすることはありません。
しばらくすると株価は適正な水準に戻ってきます。
上がったものはいつか下がり、下がったものはいつか上がります。
ここに「逆張り(リターンリバーサル)」という投資手法が考えられました。
たとえば、一定期間で大きく下げた銘柄をリストアップし、その中から投資する銘柄を選定するというようなやり方です。
ある悪材料によって、適正価格より下に大きく乖離したところで買い、適正価格に戻った所で売って利益を得るという手法です。
あるいは、その企業の持っている資産や業績・将来性などと比較して、現在の株価が適正価格より安いと思われる場合、その銘柄に投資していくという方法もあります。
ウォーレン・バフェットなどは、この手法を用いる投資家の代表です。
しかし、「逆張り」の場合は、一般的に時間がかかること多いといわれています。
ウォーレン・バフェットなどは典型的な長期の逆張りです。
上昇相場も下落相場もしばらく続きます。
上昇相場が続くときは、その流れに乗って「順張り(トレンドフォロー)」で買っていく方が良いことがあります。
そして、短期的な利益を狙っていくなら「順張り」の方がお勧めです。
ただし、これが高値圏だった場合は反転して急落するという危険性を伴います。
要は、投資タイミングの問題です。
「アノマリー」と「同調伝達」
「アノマリー」とは変則という意味で、はっきりした根拠はないけれどよく起こる事例、または、材料やニュースとは関係ない自律的な変動周期を言います。
そして、このアノマリーを利用して売買する方法があります。
たとえば、「年末年始効果」や「五月連休前後効果」というアノマリーがあります。
これは、株価は年末年始や五月連休前後に天井が来ることが多いという値動きのことで、経済情勢や企業業績などのファンダメンタルズにかかわらず現れます。
そのほか、株式市場における代表的なアノマリーには次のようなものがあります。
・月曜の株高
月曜日は相場が上がる。
・節分天井、彼岸底
2月初めに高値を付けて下落し、3月末で底を打つ。
・小型株効果
資本金が少ない銘柄は平均より収益率が高い。
・株は五月に売れ
「sell in May」は、アメリカで言われているアノマリーで、日本では、相場格言に「鯉のぼりの季節が過ぎたら株は売り」というのがあります。
Sell in May and go away But remember to come back ln September.
「5月に株を売って後は近づくな。しかし、9月になったら買うことを忘れるな。」
秋に仕込んで春先に売る半年投資は、比較的結果が良いのです。
・晴れの日は株が上がり、雨の日は下がる。
天気の良い日は気分もよく積極的になるのかも知れません。
このように、世界中の株式市場で、曜日や月・旬などの暦によって、株価の変動にある種のパターンが存在します。
日本でも、月や日など暦日を基準にする方法や、新月・満月などの月齢を基準とする方法、あるいは、日数などの周期による売買などをアノマリーと呼んでいます。
たとえば、月の効果としては、日本でもアメリカでも一月の株価が高く、日本では六月も株高となりやすい。そしてこの傾向は会社規模が小さいほど顕著なようです。
このような株価変動の規則性は、通常の理屈や理論などでは説明しきれないため、アノマリーといわれています。
そして、理屈では説明できないけれども、なぜか通常よりも多くの利益を得ることのできる規則性のある変動パターンに基づいて売買を行うことを「アノマリー」に基づく投資手法といいます。
これらの「アノマリー」といわれるものは、多くの人がある情報に基づいて同じ行動を取るために起こる現象で、「同調伝達」といわれています。
不確実な状態の中で、他の人がとる行動に基づいて自分の行動を決める傾向のことで、不確実な中で不安になったとき、人はどうするのだろうと考えることからこのような行動をとるのです。
「アノマリー」と言われるものは色々ありますが、注意したいのは株式投資というものは、皆と逆の行動を取らないと儲けることはできないということです。
「同調伝達」によって、皆があっちに行くから自分も付いて行くというのは、株式投資をするうえであまり良い方法とはいえません。
ベンジャミン グレアムの『ミスターマーケット』
ウォーレン バフェットの師匠であるベンジャミン グレアムは、著書の「賢明なる投資家」の中で『ミスターマーケット』について、こう記述しています。
ミスターマーケットは、毎日あなたの家を訪れます。
彼は、あなたの家のドアの前に現れては、毎日違う価格で株の売買を持ちかけてきます。
ミスターマーケットによって提案される価格は、しばしば妥当なように思えますが、それはしばしば馬鹿らしい価格のときもあります。
あなたは、彼の提示した価格に同意して取引してもいいし、彼を完全に無視してもいいのです。
いずれにしろ、ミスターマーケットは、翌日も他の株式の価格を引き合いに、投資を持ちかけてくるのです。
問題は、ミスターマーケットが気まぐれで提示してくる価格に、振り回されてはいけないということです。
あなたは、市場に参加することではなく、市場の愚かさから利益を得るべきです。
あなたは、ミスターマーケットがしばしば行う不快な言動に対して、過度に気を取られるよりも、むしろ現実世界の会社のパフォーマンスに注目し、割安な株式を取得することに集中する方がいいのです。
<ベンジャミン グレアム「賢明なる投資家」>
ここに登場する「ミスターマーケット」とは、市場の株価の動きを擬人化したものです。
短期的な株の値動きを予測する方法は、残念ながら存在していません。
すなわち、株価は常に酔っぱらいの千鳥足のようにランダムウォークをするもので、このフラフラした不安定な動きこそが、ミスターマーケットなのです。
あるいは、値動きによって投資家の心を惑わす存在がミスターマーケットといえるでしょう。
株式投資とは、本来その企業の価値、いわゆる成長性や将来性などを評価して、その企業に長期的に資金を入れるべきものです。
したがって、短期的な株価の動きには目を奪われる必要はありません。
しかし投資家は、短期的な株の値動きに惑わされてしまい、上がりだすと「もっと上がるかも」と、いつまでも株価が上がり続けるのではないかという期待を抱き、逆に下がりだすと不安になってすぐに売ってしまうということがよくあります。
これは「現状維持バイアス」といい、ある方向に動き出すとそれがずっと同じ方向に動き続けるという錯覚をすることです。
リーマンショックや東日本大震災などのとき、株価は大きく下げましたが、その出来事に直接関係の無い企業の株まで売られました。
リーマンショックや東日本大震災が発生したために、その企業の業績などと関係なく株が売られて下がったのであれば、その銘柄は割安になっているはずなので、本来は買い時というべきなのですが、株価が下がったのを見て慌てて売ってしまったという投資家が非常に多かったようです。
このように、株式相場、特に短期的相場は、企業業績や経済状況などはお構いなしに、売買に参加する多くの投資家たちの心理的な要因だけで動くことが多いのです。
だから、ミスターマーケットには耳を貸さない方が良いのです。
そして、そのためには、機械的に自動的に売買できるような自分なりのルールや仕組みを作っておくことが大切なのです。
自分が得意とする銘柄や自分と相性の良い銘柄を早く見つけることが重要。
銘柄を選定する際、どれが儲かるかではなく、どの銘柄の動きが好きか、そして、長く付き合っていけそうかを考えて銘柄を選んだ方が好結果を期待できることがあります。
また、ニュースや情報などのいわゆる「材料」にこだわりすぎて、資金をどんどん減らしてしまうことがあります。
株式投資でいつも損をしている人は、株式評論家やアナリストなどの株式投資の専門家といわれる人や、証券会社の営業マンなど他人の奨める色々な銘柄を次から次へと取っ換え引っ換え手を出しています。
そして、銘柄をどんどん増やして身動きが取れなくなっていきます。
「品薄仕手株」、「二部・店頭株など(一部以外)」、「新規公開株」、「テーマ株・人気株」なを奨める専門家や証券会社の営業マンがいますが、これらの銘柄も避けた方が無難です。
上場銘柄数は膨大な数があり、これらすべてに目を通すことは不可能です。
色々な銘柄に手を出して失敗するより、企業業績や業種などをみて銘柄を絞り、同じ銘柄が安くなったら買い、高くなったら売るということを繰り返す方が安全性は高いと言えます。
自分が得意とする銘柄や自分と相性の良い銘柄を早く見つけることです。
その銘柄の高値や安値、買い時、売り時など株価の動きの癖まで分かるようになればしめたものです。
このような、自分が常に値動きや材料・業績などに注目していて、十分知り尽くした銘柄だけしか取引しないようにすることが大切です。
そして、株式投資をする場合、株価チャートの見方にも注意が必要です。
ニュースや情報などの材料を聞いてからその銘柄の株価チャートを見ると、材料が先入観になってしまい余計なことを考えてしまいます。
逆に、チャートを先に見てから材料を知ると、その材料の値動きへの影響がわかることがあります。
ここでも、あまり情報やニュースなどの材料にこだわらない方が良いといえます。
これと思った銘柄を買っても、見通しが誤っていることがあります。
このような場合は、早く損切りなどの処置することが必要ですが、「失敗した」とどこで感じるかは感覚的なものなので、人それぞれ受け取り方が違ってきます。
だから、自分なりの「損切り」のやり方を事前に決めておかなければなりません。
これは、どの銘柄も一律に「〇%下落した時点で損切る」と決めておくとか、銘柄ごとに買う前に損切りポイントを決めるなどいろいろ方法がありますが、いずれにしても、損切りのことを考えずに株を買ってはいけません。
株式投資は、買うのも売るのもタイミングが重要。
株式投資は、タイミングが重要です。
特に、予測が外れた場合の「損切り」はできるだけ早く、そして、利益確定はあまり焦って慌ててはいけません。
当初予定していた株価になるまでじっくり待って、できるだけ多く稼ぐことを考えましょう。
要は、売る時も買う時もタイミングが肝心ということです。
「損切り」とは、予測に反して下がり始めた株を損を承知で売ることです。
株価は買った時点から上がっていくか、下がっていくかのどちらかです。
いつも予測通りに行くわけではありません。
予測通りに行かなかった場合も、含み損が少ないうちに売れば、ダメージは少なくて済みます。
だから、銘柄や購入時期を決めて投資を実行する際には、予測通りに行かなかった場合の損切りする価格・ポイントを決めておくことが重要です。
損切りポイントを決めずに株を購入し、その銘柄が予測に反して下落していった場合、「今は下がっているけどもうすぐ上がってくるはず」などと考えて、ズルズルと株を持ち続け、結局売るに売れずに塩漬け株になってしまうというようなことが多々あります。
しかし、損切りした後に株価が上がってくることがあります。
それを見て、もう少し持っていればよかったなどと考えるようでは、あなたは投資家失格です。
損切りした後に株価が上がったからといって、それは仕方ないことです。
利益確定の場合でも、手仕舞った後も株価が上がり続けるということがあります。
焦って売却してせっかくの値上がり益を逃がすようなことではいけませんが、購入前に決めた目標額に達したら、さっさと手仕舞って次の銘柄に集中すべきです。
あまり感情や欲を出し過ぎてはいけません。
そして、効率よく「損切り」や「利益確定」をするためには、「指値」・「逆指値」という注文方法が有効です。
これは、あらかじめ売買の希望金額を設定し、売買の注文を出す方法です。
仮に、指値で買い注文を入れた株が希望金額まで下らなかった場合、取引は不成立となり、お金は返金され手数料も不要となります。
【指値注文】
○○円以上になったら売る。
○○円以下になったら買う。
【逆指値注文】
○○円以下になったら売る。
○○円以上になったら買う。
あなたは、「分散投資」をやりたいですか。
証券会社の営業マンや株式評論家などの専門家の中には、株式投資は分散投資が一番といって、多くの銘柄を推奨する人たちがいます。
これは、予算の多寡にかかわらず、複数の銘柄へ資金を分散して投資するというものです。
分散投資のメリットとしては、リスクが分散できるため、それぞれの銘柄の株価に上下の変動があっても、トータルで見ればプラスマイナスゼロは維持しやすいということです
優良と思われる銘柄でも、常に上がり続けて行くことはありません。
このため、一つの銘柄に絞ると、勝つときは大きいが、負けるときも大きくなり、一発で資産をなくしてしまうこともあるというのが分散投資を奨める人たちの言い分です。
銘柄を分散して持っていれば、急落するような銘柄があったとしても、他の銘柄までもがすべて下がってしまうというケースは少なく、他の銘柄が上昇していることもあるので、トータルではマイナスにならない。
また、複数の銘柄を持っていると、下がりそうな銘柄はすぐに手仕舞って、その資金を他の銘柄に回すなど臨機応変に対応できるというものです。
さらに、分散投資を奨める人たちは、分散投資を行う場合は、同じような業種や業界、同じ傾向のある企業などに偏らないようにするということも奨めています。
これは、たとえば輸出偏重産業や輸入偏重産業などの場合、為替の動きで業界全体が不景気になったり好景気になったりすることがあります。
このため、異なる業界の銘柄や、円高や円安で逆に振れる業種の両方を保有しておけば安全ということです。
円高に強い内需関連(建設、不動産、百貨店、電力、輸入など)を持つなら、円安に強い外需関連(輸出比率・海外生産比率が高い)も持っておくというやり方です。
取引する市場も分散すべきという専門家もいます。
東京証券取引所の銘柄に投資するだけでなく、ジャスダックやマザーズの銘柄など異なった取引所にも分散して投資する。
あるいは、日本の市場だけでなく、先進国株と新興国株などにも分散してみるなどです。
こんな分散投資をやろうとすれば、いったいどれほどの数の銘柄を持つ必要があるでしょうか。
たしかに、多くの銘柄を持っていると、全部が下がってしまうなんてことはありません。
下がった銘柄と同じぐらい上がっている銘柄もあると思います。
だから、分散投資は安全だと言いたいんだと思います。
そして、分散している持っている多くの銘柄すべてが上がるということも、ほとんど無いと思います。
上がる銘柄があれば、同じぐらい下がる銘柄もあるからです。
これでは、資金は減ることはありませんが、増えることもありません。
証券会社に売買手数料を支払う分だけ、あなたの大切な資金が少しずつ減っていくというわけです。
あなたは、こんな「分散投資」をやりたいと思いますか。