相場や株の値動きを予測するのにファンダメンタルズは不要です。
一般の投資家の人たちは、「株式投資で勝つためには、ファンダメンタルズが重要。」とか、「ファンダメンタルズ分析が分からなければ投資では勝てない。」と思っているようですが、本当にそうでしょうか。
株式投資を行う際、ファンダメンタルズが重要視されますが、相場や株の値動きを予測するという点においては、ファンダメンタルズはほとんど役に立ちません。
なぜなら、ファンダメンタルズによって分析できることは、すでに相場に織り込まれているからです。
相場や株の値動きを予測するにはどうしたら良いでしょうか。
株式の価値とは、株主が出資した資本を使ってその企業が生み出す利益と考えられます。
そして、企業が生み出す利益は、株主には配当やその持ち分の増加という形で反映されます。
だから、将来の株価を予測するためには、その企業の利益が将来どうなるかを予想すれば良いわけで、その企業の将来の業績は、その企業の事業内容や経営力、そして、景気や為替の動向などに左右されるわけです。
また、株式相場全体の大きな流れは、景気動向を反映します。
したがって、将来の景気動向や好況・不況を予測することができれば、株式相場の将来的な大きな流れは予測できるはずです。
だから、将来の景気動向に個別企業の事業内容や経営力などの個別要素を加味すると、その企業の業績が予測でき、株価の動きも予測できるということです。
しかし、現実にはどうかというと、このようなファンダメンタルズ分析というものは、経済状況を理解するためには有効であっても、株式や為替などの相場の予測にはほとんど意味を成しません。
その理由は、相場を予測するために有効と思われる情報が手に入ったとしても、その情報を分析する間もなく、すぐに株価や為替相場に織り込まれてしまうからです。
たとえば、相場に影響するような重要な経済指標が公表されニュース速報で流れると、その瞬間に相場は大きく反応します。
したがって、その指標が公表されそれを分析しても、結果に対する理由の後付けにしかならないのです。
株式の価格は、理屈の上では、その企業が将来生み出すであろう利益を反映します。
しかし、企業の将来には無数の分かれ道があり、その中には、予測のつかない偶然に左右される場合もあります。
たとえば、ある企業が高い業績を残し株価が大きく上昇した場合、後から見ると株価が上昇した理由がその企業の好業績にあることが分かります。
だから、その好業績の理由や要因を事前に知ることができていれば、株価上昇も予測できるのではないかと考えるのが普通ですが、実際はそうではありません。
ファンダメンタルズ分析によって得られる情報は、市場に織り込まれやすい情報です。
ファンダメンタルズ分析を得意とする株式アナリストたちが「これだ」という情報を見つけた時には、その企業の株価には株式アナリストが入手した情報は、すでに織り込み済みとなっているのです。
だから、投資におけるファンダメンタルズ分析とは、その分析結果に基づいて投資先や投資方針を決めるというより、市場の動きに変化が起きるかもしれないという仮設に対し、事実を持ってその仮説を検証していくところに意味があります。